冬の味覚として人気の高い「牡蠣」が、食卓の喜びと同時に産地の深刻な問題として注目を集めています。飲食店では、串カツ田中やその新業態「厚とん」が、瀬戸内産や広島県産の大粒牡蠣を使った串カツや牡蠣フライを冬季限定で提供し、消費者の食欲を刺激しています。しかしその裏で、広島県をはじめとする中国、四国、関西地方の広範囲で養殖牡蠣が大量死する深刻な事態が発生。被害は8〜9割に及び、「本当に厳しい状況」と農林水産大臣も現地を視察するほどです。この大量死の主な原因は、高水温、高塩分、貧酸素が同時に発生したことによる生理障害と推定されており、特に閉鎖海域である瀬戸内海の成育環境に異変が生じている可能性が指摘されています。このように「牡蠣」は、美味な冬の味覚としての明るい側面と、気候変動がもたらす水産業への深刻な影響という暗い側面を併せ持つ話題として、広く関心を集めています。