農林水産省は、スペインの野生イノシシでアフリカ豚熱(ASF)の感染が確認されたことを受け、同国からの豚肉および加工品の輸入を一時停止すると発表しました。スペインはカナダ、米国に次ぐ日本にとって3番目に大きな豚肉輸入相手国で、国内供給量の約1割、年間約16万9000トンを占めています。特に冷凍豚肉は加工業務用として広く使われ、輸入生ハムの約7割がスペイン産です。
今回の輸入停止により、食品メーカーや外食チェーンの調達コスト上昇が懸念され、代替となる他国産豚肉への切り替えも供給量や価格面で課題を抱えます。ASFウイルスは死骸や塩蔵品からも長期間残存するため、輸出再開には相当な時間を要すると見られており、豚肉価格の高騰や供給不安が私たちの食卓に影響を及ぼす可能性が高まっています。ASFは人間に感染することはありませんが、感染した豚は高い確率で死亡するため、畜産業界への影響は甚大です。